タイ王国基本情報

本稿では、タイの基本情報をざっくりとご紹介します。

人口は約6,800万人(世界20位、日本の約60%)

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人口はおおよそ6,400~6,800万人(世界20位。数値は出所によってブレあり)。世界的にみてもかなり大きな国と言えます。アジアでは中国、インド、インドネシア、日本、フィリピン、ベトナムに次いでの6位。

バンコク首都圏の人口は約1,600万人(世界17位)

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バンコク首都圏(Greater Bangkok)の人口は約1,600万人、世界17位。タイに来たことがない方にとってバンコクといえば、砂埃舞う路上を物売りの女性が練り歩きトゥクトゥクが走り回る発展途上国というイメージかと思いますが、実際は摩天楼が建ち並ぶ東南アジアを代表する近代的メトロポリスです。

なお統計データーではよく’Greater Bangkok’と言う表現が出てきますが、これはバンコクおよび周辺の1都4県(バンコク都、ノンタブリー県、パトゥムタニ県、サムットプラカーン県、サムットサコーン県)、もしくはナコンパトム県を加えた1都5県を指します。日本で言うところの「首都圏(東京、千葉、神奈川、埼玉)」みたいなものですね。

ちなみに東京首都圏は3,800万人で、なんと世界1位!ムンバイやサンパウロより上位です、ほんまかいな。

国土面積は約51万km²(世界50位、日本の約1.4 倍)

人口が日本の約6割ですが国土面積は約1.4倍で人口密度は134人/㎢(世界61位)、ちなみに日本が335人/㎢(世界25位)です。国土の多くが平野のため、山がちな日本列島と比較するとかなり土地に余裕があります。

政治体制

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王室を戴く立憲君主制です。

憲法や議会、選挙等の制度については頻繁に改変があるため、ここでは説明を見送ります(ちなみに現憲法は1932年の立憲革命以降、暫定憲法も含め通算20本目)。

タイ王室は大きな権威を持っており、国民は幼少期から王室を絶対不可侵の神聖なものとして教えられます。テレビ番組では王族の方々がその日にどのような事をなさったかが日々放送されます。

また不敬罪が存在し、外国人であっても王室への不敬とみなされる行動をとった場合には刑の対象となるので注意しましょう。

私自身はタイに住まわせてもらっている身分という認識を持っているため、タイ人の友人に政治的意見を求められてもノーコメントで通しています。

実質GDPは4100憶ドル(世界31位)

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意外かもしれませんが、タイの実質GDPは約4,100憶ドル、世界31位(アジア6位)で中々の規模です。なお一人当たり名目GDPは6,590ドル(世界86位)。

一般的にタイは発展途上国ではなく、マレーシアなどとともに中進国に分類される事が多いです。近代的な街並みが広がるバンコクだけを見ていると東京との差異を感じることも少ないのですが、地方に行くと昔ながらの高床式家屋が多く、まだまだ経済開発の余地があると感じます。

主要産業

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産業のGDP構成比で最も大きいのは製造業です。特に自動車関連産業の規模が大きいのが特徴です。

日系自動車メーカーが大戦後の早い時期から同国に進出していたこともあり裾野産業の集積化がすすんでいましたが、タクシン政権時に「アジアのデトロイト計画」が発表された後この傾向が更に加速。今ではタイで生産された一部車種が日本に逆輸出されています。各メーカーの国際的サプライチェーンに完全に組み込まれており、メコン経済圏における自動車生産・輸出基地としての地位は今後も維持していくものと思われます。

就業労働人口が最も多いのは、メコンが運ぶ肥沃な土地を活かした農業(産業別GDP構成比は低めですが)をはじめとする第1次産業です。ベトナムなどと並び最大のコメ輸出国の一つであり、地方では美しく広がる田園地帯を見ることができます。また、南部ではゴムやエビの養殖も盛んです。

また、産業別GDP構成比は上記2産業より低いものの、タイは世界屈指の観光大国であり観光も主要産業の一つです。

国土は6地域に区分

上記地図はhttp://www.asia-tourist.info/thailand/sightseeing/showplace/showplace_index.htmlより引用。

タイの国土は全77県で構成されており(18年9月現在)、バンコク首都圏、中央部、東部、北部、東北部、南部の6地域に区分されています。

島国に住む日本人にはピンとこないところですが、タイは他民族国家であり地域ごとに民族的ルーツも異なります。地域毎の文化人類学的考察もいずれ別記事にて書きたいと思います。

伊皿
地域ごとに多種多様な文化・習慣が根付いています。

バンコク首都圏

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バンコク都、ノンタブリー県、パトゥムタニ県、サムットプラカーン県、サムットサコーン県。統計によってはナコンパトム県も含む場合あり)。日本で言うところの「首都圏」です。

バンコクは現チャクリ王朝の前身トンブリー王朝時代から政治・経済・文化の中心地であり、タイ語では「クルンテープ(天使の都)」と呼ばれています。バンコク中心部のオフィスで働くタイ人の多くは郊外から通勤・通学しており、上述の周辺4県は「千葉・神奈川・埼玉」のようなベッドタウンの位置づけです。

平均所得は全国でも突出して高く、中・高所得層に属するタイ人のほとんどがこのエリアに居住しています。

中央部

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アユタヤ県、ロッブリー県、カンチャナブリー県、プラチュアップキリカーン県(ホアヒン)、ベップリー県など。伝統的な稲作地帯ですが、日系企業も工場を構える大規模な工業団地もあります。

アユタヤ遺跡群や海浜保養地ホアヒン、バンコクから日帰りで行ける自然公園カンチャナブリーなど、観光資源が豊富なエリアです。

東部

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チャチューンサオ県、チョンブリー県、ラヨーン県、トラート県など。最東部は隣国カンボジアと国境を接しています。

パタヤやサメット島、チャーン島など、バンコクから手軽に行くことが出来るビーチが多数点在するエリアですが、タイ最大の工場密集地域でもあり、同エリアのレムチャバン港はタイで生産製造される工業製品のほぼ全てを取り扱う巨大輸出港です。タイに進出している日系メーカーの多くはこの地域に工場を構えており、シーラチャという街には工場勤務の日本人が多数住んでいます。

地方からの出稼ぎ労働者(工員)が多く居住する地域であり、平均所得も高めです。反面、タイ人の間では治安が非常に悪いことでも知られており、特にチョンブリー県やラヨーン県の名は、タイのゴシップ紙の3面記事などによく登場します。

北部

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チェンマイ県、チェンライ県、メーホンソン県、プレー権、パヤオ県、ランパーン県など。

周縁部はミャンマー、ラオスと国境を接しており、タイの文化的多様性が確認できる地域です。国境地帯沿いに山脈が連なり、その隙間を縫うように美しい田園風景が広がる風光明媚なエリアです。

古都チェンマイやゴールデントライアングルなど観光資源も豊富で、山岳民族の村々を訪ねるトレッキングツアーやエレファントキャンプなど、外国人のみならずタイ人の間でも人気の国内旅行先となっています。わたくし個人としてもイチオシのエリアで、特にバンコクの喧騒に疲れた週末は、癒しを求めてタイ北部旅行に突発的に出かけてしまいます。

「チェンマイ美人」という言葉があるように、タイ人の間では美人の産地としても有名です。ひと昔前は東北部と並ぶ最貧地域であり(なお同地域のメーホンソン県は現在もタイの最貧県の一つです)、特にチェンライ県やパヤオ県では性産業に身を投じる女性が多かったためエイズ感染者拡大が社会的な問題となったこともあります(問題解決のため、日本のNGOなども活躍しました)。

また、同地域は歴史的にビルマ(現ミャンマー)に長期間支配されていた時期があったり、独自の王朝の支配下にあったりと複雑な歴史的過程をバックグラウンドとして持っています。そのためかチェンマイやチェンライ出身の方と話しをしていると、他地域のタイ人とは明らかにアイデンティティーが異なり、タイという国民国家への帰属意識が希薄な印象を受けます。

東北部

ナコンラチャシマ県、コンケン県、ウドンタニ県、ウボンラチャタニ県、ノンカイ県など。

イサーン地方と呼ばれ、国境を接しているカンボジアやラオスとの文化的・経済的結びつきが強い地域です。赤茶けた大地に広大な田畑が広がり、東南アジアの原風景ともいえる景観を見ることができます。南部のプリラム県やシーサケート県ではクメール語を話せる方も多く、北部ではラオス語に極めて近いイサーン語と呼ばれる方言が一般的に使用されています。

食文化もラオスの影響を強く受けており、大抵の料理はとても辛い。今ではバンコクでも一般的に食されているソムタムやラープ、チムチュム(土鍋)などはイサーン地方発祥の料理です。

タイにおける最貧地域として知られており、農業の休閑期には多く人々が都市部や工業地域に出稼ぎに出ます。バンコクやチェンマイと比較すると服装なども垢抜けておらず、街によっては貧しさを確かに感じますがそのぶん飾らない素朴な雰囲気が人々にあり、とてもフレンドリーに接してくれる方が多い印象です。

南部

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ソンクラー県(ハジャイ)、プーケット県、クラビー県、スラタニー県など。

プーケットやクラビー、サムイ島、ピピ島、パンガン島など世界的に著名なビーチアイランドが点在しています。世界中から旅行者が集まるため観光業が盛んで、平均所得も比較的に高い地域です。タイの中でも文化的にやや異質な地域で、ムスリムの方も多くお住まいです。

旅行者の方に注意頂きたいのは、最南部の3県ではイスラム過激派によるテロ事件が頻発しており、外務省からは長期間にわたって渡航中止勧告が出ている点です。とはいえ外国人が多いビーチリゾートエリアにいる限りは、テロ発生等を心配する必要性はほぼありません(とはいえ数年前、小規模ながら爆弾テロ事件がプーケットで発生したと記憶しています)。

国教は仏教、精霊信仰もあり

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タイの国教は仏教です。南部地域を除くタイ人の大半(95%)は敬虔な仏教徒であり、日常の生活や慣習には仏教的価値観が深く根ざしています。

とはいえ上座部仏教ですので日本の大乗仏教とは様々な点で大きく異なります。輪廻転生の世界観を基盤とし、五戒を守る事、一生の間に積み上げる「業」≒「徳」で、次の生でどの世界に行くかが左右されます。バンコク都内においても寺院で熱心にお祈りをする人々や、托鉢中の僧侶に食事を差し出す人々を見かけることができますが、これは徳を積むためです。そして最も徳を積むことが出来るのは、息子を出家させることです。タイ人にとって出家は最もおめでたい一大イベントであり、ほとんどの企業では従業員向けの「出家休暇」の取得を認めています。

タイ人の僧侶は227の厳しい戒律を守る必要があり、その中でも特に五戒(不殺生・不偸盗・不淫・不妄語・不飲酒)を破ると、仏教界から追放され還俗させられます。この五戒は一般庶民の仏教徒も守る必要がありますが、実際のところ、不妄語(嘘をついてはいけない)や不飲酒(お酒を飲んではいけない)はあまり守られていないかな、というのが実感です。

余談ですが、スキンヘッドに作務衣という風貌の知人が訪タイしレストランで一緒に食事をした際、彼がビールを飲んでいたため、店内が騒然とした雰囲気に包まれたことがありました。

「お坊さんが戒律を破ってお酒を飲んでいる!」

彼はごく普通の会社員なのですが、周囲のタイ人客には彼が僧侶に見えたのでしょう。実際に僧侶の戒律破りはゴシップ紙やSNS等で話題のトピックスとなっています。

また、仏教と共存する形で精霊信仰も浸透しているのですが、記事が長くなってしまうためいずれ別記事でご紹介します。

民族構成

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タイは多民族国家です。統計ではタイ族が約85%、中華10%、それ以外にインド系、マレー系etc.と言われていますが、何をもってしてタイ族と定義するかは非常に難しい問題です。

歴史的には中国南方から現在のメコンエリアに下ってきた人々とされますが、例えば現在バンコクにいるタイ人の90%は中華系の血が流れているともいわれ、学術的見地から古来のルーツを辿ると、厳格な意味でのタイ族はもはや存在しないともいわれています。また、南部の人々はマレー系の血が濃いと言われますし、北部はラオやビルマ(ミャンマー)、東北部はラオやクメール、キン(ベトナム)との混血がすすんでいます。

様々な地域から人が集まるバンコクでは特にその傾向が顕著で、街を行きかう人は肌の色も顔立ちも体つきも多種多様です。私のタイ人の友人も、ご両親とも中国の出身だったり、インドの出身だったり、欧米人とのハーフやクオーターの方も相当数います。

つまるところ儒教的な血族的な価値観ではなく、タイで生まれ(出生地主義)、タイ語を話し、王室を敬慕すればそれはもうタイ人でしょうという非常に緩やかな共通認識が、民族アイデンティティーの根底にあるような気がしています。

外国人に寛容な国民性

タイ人の国民性の特徴の一つとして、外国人や異文化に寛容であること挙げられます。

島国である日本と異なり四方に異国との国境があり、歴史的に近隣国からの移民と異文化の流入が国家基盤の構築に影響を与えてきました。古都アユタヤ遺跡には日本人町跡がありますが、同王朝には中国やーロッパの国々の移民街も存在し、彼らは官吏や軍人、商人として大なり小なり活躍していました。こうした背景もあり、伝統的に異民族に対する抵抗感が少ないのかと思います。

 

以上がざっくりとタイ王国の概要説明です。